DJ Q-bert④ ~初めてのDJ(スクラッチ&レコード体験記)~

休日の朝10時頃、1時間に一本しか来ないバスを僕は待って、30〜40分くらいバスに揺られて街に出かけました。

街の中心の駅前、最終地点のバスロータリー場へ着くと、すぐにレコード屋を目指し歩きました。

レコード屋は前に来たときと同じで、シャッターが閉まっていて、小さい人が一人入れるくらいのドアがあり、そこが空いていました。

11時くらいに到着し、緊張しながらもドアを開けて中に入りました。

暗く広い倉庫のような店内には、分厚く、高く、長いレコード棚が3列くらいだったかあり、ひんやりとしたコンクリートの壁にほこりが舞い電球に照らされ、独特の匂いがして、棚とコンテナボックスに入ったぎゅうぎゅうのレコードジャケットに、CD、ポスターやフライヤーが目いっぱいに広がりました。

端っこに、商品に埋もれている小さいレジに店長らしき人が居て、何やら机に向かって作業をしている姿がありました。

お客は僕一人で、その店長と、店内に2人でした。

音楽が静かに流れていましたが、広い店内には僕の行動する音が響いて、僕は相当緊張しました。

何か目当てがあるような探しにきたようなフリになりながらも、なにかDJ的なものを感じるジャケットを手に取ったりして、表を見たり、裏を見たりして、何かその商品から何かの情報を考えているフリをしながら、手にとっては戻し、少しずつ店内をちまちま移動していました。

店長さんにちらりと目を向けると、何か作業をしていて、特に僕を意識している様子でもなかった事も分かると、少し、僕が居る店内が慣れた空気になり、奥に居た僕は店内を少し出来た余裕で見渡す事ができました。

すごい数のレコードとCDで埋め尽くされた店内の棚には、ROCK,JAZZ等とジャンルが書かれているプレートが挟まれており、僕はHIPHOPと書かれたプレートを探しました。

移動した「HIPHOP」のコーナーのレコード棚は僕からもレジからも丁度、店長さんと僕のお互いの姿が見えず、またそれで緊張がほぐれたのでした。

HIPHOPのレコード棚と思われるコーナーには棚いっぱいのレコードといくつものコンテナボックスに詰まったレコードがあり、とりあえず、ジャケットをひとつひとつ見るのですがまっっったくの知識の無い僕には何を買っていいかどこを見たらいいのか、全く分かりませんでした。

僕はスクラッチする為のレコードが欲しかったのですが、緊張して、店長さんに聞こうと思っても、初心者という自分にビビってしまい、とりあえず、何かかっこよさそうな音楽が入ってそうなジャケットのレコードを選び、2枚程手に取り、これは買おうと思いますが的な雰囲気を出しつつ、勇気を出し、小声で、、、

「あの〜。すいません。スクラッチをするためのレコードも探してるのですが、、、何かオススメはありますか?」

と、聞きました。

すると店長さんはレジから出てきてくれて、、、

「あーそうなの。これなんかどうかね?」

と、サッとレコード棚から1枚レコードを抜いて、僕に渡してくれました。

僕は、嬉しくなり、一気にホッと安心して、、、

「ありがとうございます!!これと今持っている2枚買いたいです!」

と、この安心した気持ちを持ってこの緊張する店から脱出したい!と思い、試聴は勿論せず、お小遣いでレコード代を払って、この店から出ました。

そうして、初めて買ったレコードは3枚でした。

それは、

「Beastie BoysのHello Nasty」

「Jungle BrothersのV.I.P.」

そして僕にとって初めてのスクラッチする為のレコード

「DJ SpookyのPresents Haunted Beats, Vol. 1」

というレコードなのでした。

つづく

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DJ Q-bert③ ~初めてのDJ(スクラッチ&レコード体験記)~

初めてのスクラッチ体験をして、一ヶ月くらい過ぎました。

その一ヶ月はどうしてたかというと、学校から帰っては、HOW TO VHSビデオを繰り返し見まくり、とにかく「ドゥイドゥイ」という、スクラッチ音を出すために、強引に作ったDJセットに向かって、見よう見真似でレコードをひたすら触っていました。

あとはテレビで録画したDRAGON ASHというバンドのPVを見て(数秒しか見れないPVでした。)、「かっこいいな。どうやってるんだろう。すげえなあ。」と、憧れているといった具合でした。
その時、そのPVを見て、なんとなくこのHIPHOP,RAPって音楽が好きだなあ。。と思い始めていたと思います。

何にも、本当に、何にも分からない状態でした。

インターネットという物も知らない時でした。

DJ達はどこに居るのかもわからないし、生のDJすら見たことが無いし、というかこの町にDJって居るのかな?と思ってました。

二週間くらい訳も分からないまま、DJセットに向かって、そうこう思っていると、当時のことをよく思い出せないのですが、確か、街に出ている姉を母さんが車で迎えに行く、という機会がありました。(記憶が曖昧なのですが。)

何故か、暇だったのだろう僕も、一緒に付いていきました。

姉は街のCDショップで待っているというので、母と、そこへ迎えに行きました。

そして街の裏道にあるCDショップの前に車をつけ、閉まったシャッターに狭い入り口のドアがあったそのCDショップへ入ると、そこには、CD。。。そして、レコードが大量にありました。

「これは!!?レコード!!?じゃん!しかもこんなにいっぱい!?なんだここは!?」

狭く奥深く、光も入ってこない倉庫のような店内には、蛍光灯に照らされ舞う埃とともに、レコードとCDが店内にずら~っと,というか、ごちゃ~っと、積み上げられ並んでいました。

衝撃でした。

そして、その膨大なレコード達が視界いっぱいに入り、チラチラ見ながら、店内に居る姉を見つけつつ、その時は何故かあっさり、外へ出てしまいました。

中学生の頃の僕は未知なるものとの出会いをしてしまった!という様子で、大変ショックを受けつつ、その日はサラーっと家に皆で帰りました。

そして、数日後、、、。

僕はあのレコード屋のある街に一人で行く事にしました。

つづく

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DJ Q-bert② ~初めてのDJ(スクラッチ&レコード体験記)~

黒人のお兄さんのDJをしている姿を見て、

「早速俺もスクラッチしてみよう!」

と、思い、まずはターンテーブル2台、DJミキサー1台を置ける台を探して見つけ、そして何故か運良くあった使っていないCDとカセットとラジオが一体になったでかいコンポ(多分親父の古いやつ)も見つけ、そのコンポの上にDJセットを乗せた台を置いて、強引に合体させて、僕の初めてのDJブースは出来上がりました。

配線はVHSを何度も見て、最終的なミキサーからコンポへと出力する赤白のケーブル線を、コンポのボリュームを上げつつ、どこに挿したらいいのか手探りで、とにかくコンポの穴に挿し、そうこうしてると、どーにかこーにか、スピーカーから音が出ました。(AUX端子とか全く分かっていませんでした。)

レコードは両親の昔聴いていたのが何枚か、洗面所の使っていない引き出しの中にあると聞いて、早速それを見つけて、全部自分の部屋に運びました。
内容は、主に70年代の歌謡曲や、教育系テレビのものだったかな、、、。(確かABBAのゴールデン・ヒッツとかがあった。)

そのレコードを適当に選び、早速ターンテーブルに乗せて、針を落としました。

そこから出る音は、埃っぽく、ザーザーと言って、何か音が鳴っています。
当時の僕は、そこから出る音はどーでもよく、ただレコードをスクラッチして、音を鳴らしてみたいだけでした。

回って鳴っているレコードを自分なりに触って、スクラッチをやってみる。

あの「デュクデュルルデゥワデゥワ!」っという音が出したい!

と思ったんですが、レコードを触ると、針が上下に浮き、「針飛び」しまくりました。

当時の僕は「針飛び」の事も、よく分からず、、、針が飛んでいる「ブツッ!ブツッ!!」という音がスクラッチなのだろうか?と思いました。

「これが、スクラッチの音?、、、よく分からんが、、、俺は、スクラッチしてる!」

と、針が飛びまくり、ブツブツッ!っと鳴っているし、これが正しいのどうかも分からないにもかかわらず、このDJしている自分に満足でした。

何年も前の若い頃の親が聴いていたレコードは、すごく埃っぽく、なにか古いモノの不思議な匂いのするものでした。

それが僕の初めてのDJ体験、そして、レコード体験でした。

あの当時の瞬間は、何というか不思議で、うまく表現できないんですがDJセットを目の前にし、古いレコードを自分で操っている事に(針飛んでるっつーに。)、スンバラシイなにかを感じました。なにかってなんかグッときたって感覚なんでしょうが、うまく表現できない。。。

つづく

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DJ Q-bert ① ~初めてのDJ(スクラッチ&レコード体験記)~

「ターンテーブリズム」という言葉があります。

雑誌か映像か、何かで知ったのですが、DJ BABUというDJが名付けた言葉らしいです。

「ターンテーブリズム」とはレコードをスクラッチして、DJミキサーで音を刻み、新たなグルーヴを作り出す音楽の事だと認識しています。

中学生の時、DRAGON ASHというバンドのPVをテレビで観て、そのバンドの中にDJが居て、レコードをスクラッチをしている姿を観て、「これがしたい!」と直感的に思いました。

それまで、音楽の事など、全然考えたことも、注意して聴く事も、というか、そもそも興味も無く(ハイパーヨーヨー※をやっていた頃、BGM的な音楽CDを買ってもらったりして聞く,というか流す程度)、ましてやレコードなんて全く知らなかったのに、「これが好きだ。これがやりたい。」と思いました。

そして僕はスクラッチがしたくて、兄の雑誌を借りて見て(兄の読んでいたファッション雑誌の中に2ページくらいDJ機材販売の広告があった。)すぐに!親にねだってDJセットを買ってもらい揃えました。

初心者用のDJセットが田舎の山奥の中の僕の家に届きました。
GEMINIというメーカーの安いプラスチックな感じのDJセットでした。一緒に初心者へのHOW TO系のVHSビデオテープが付いてきました。

早速それを見るんですが、外国語だし、、、。全く分からない、、、。

確か黒人のお兄さんが、DJをしている動画でした。確か、まずDJセットのセットアップ、コンポ、アンプ等へのつなぎ方、(音の出し方的な)そして、実践編が軽くあった様な内容だった記憶があります。

実践編をワクワクして見るんですが、左のレコードをかけて、そのレコードを軽くスクラッチして、左のレコードから右のレコードへ。

今だから分かりますが、DJプレイの中でいうと「ミックス」をやっていました。

当時の僕はまず、DJ文化等を全く知りませんでした。クラブという場所があるという事も、ミックスという曲を繋いでいくというプレイがある、という事も後々に知るのですが、その時、僕は何も知りません。
「DJってあのキュッキュってするやつでしょ?」っていうイメージ、情報すらも、当時は入って来てなく、知りませんでした。
正面に写っているレコードをスクラッチしているDJの、あのカッコイイイメージしか頭に入っていませんでした。

ただ、2枚のレコードをスクラッチしたり同じフレーズを繰り返したりしてカッコイイ音楽を演奏する、というのが僕の中の「DJ」でした。

それがDJなんだろうと思ってました。

だからVHSのビデオテープからは、「よく分からんけど、黒人のDJのお兄さんがカッコよくDJ(スクラッチ)をしてるなぁ。」ぐらいの事しか思いませんでした。「レコードでかけている曲もなんかよく分からんけど。まあなんかDJっぽいんだろう。」と、音楽にもピンとは来ませんでした。

でも正面から見るDJというのはやっぱりカッコイイな。と思いました。

俺も早くDJ(スクラッチ)出来るようになろう!キラキラ

つづく

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※ハイパーヨーヨーとは90年代後半に主に小学生に爆発的に流行ったヨーヨーの事。ヨーヨーを用いて、いろんな技を磨いてテクニックを競いあう純粋な遊びでありスポーツ。当時、全国各地のおもちゃ屋さんで認定会というのが一ヶ月に1回あり、そこでおもちゃ屋のお兄さんの前で技を見せて、(初心者レベル、中級者レベル、上級者レベルと分けてあり、ひとつのレベルには1~10の技がある。初心者レベルからスタート)クリアしてスタンプを押してもらう。いくというまあ全国の小学生達を熱くトリコにさせる面白いモンでした。でした。っというか、今もあります!し、僕のやってた頃より技がめちゃ高度化しております。